ゴッホの手紙―絵と魂の日記 という本を読んでいる。1880年~81年の間、ゴッホは素描ばかりやっていて、弟のテオに何を書いて何を書かないのかが重要だ。みたいなことを書き送っている。ジャポニズムの影響がある頃だし、書かない場所はいかに空白を活かすか、みたいなことを考えているんだろうな、と思いつつ読み進めていくと、ゴッホは私の予想に反して、書かない場所には色彩を塗る、という考えを持っていたので、ちょっと目が開かれる思いがした(西洋人って本当に空白が嫌いなんだな)。

 途中で書き直すことはあっても、小説を書くときはスタンプラリーみたいにプロットの上を通り過ぎるようにしていたが、プロットの空白だけを書いていく方法もありそうだ。そもそも去年から今年はノートを書いて、それを以外を書くというやり方で手応えがあったし、プロットに書いてあること以外で書くというのが、どうして今まで思いつかなかったのだろうと不思議になるほどだ。

 何か新しい小説が書けるような期待がむくむくと膨らんできた。

(おわり)
dady gohho

追記:ジャポニズムの初期、日本は架空の国だと思われていたこともあるそうだ。オスカー・ワイルドもその一人。もっともそれは皮肉かもしれない。実際の日本は浮世絵通りじゃなかったはずだから。

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