やっとやっとで初稿を書き上げた。
今回はかなり難しい話を書いた。それでいて読むのは簡単。分かる人だけ分かれば良いというかなりわがままな話。

今作を書くにあたって考えたのは、人に媚びたものというのは面白くないんじゃないかということだ。
前に『竹藪の柩』と『ぼくとリカルド』の短編2つをほぼ同時に出して、どっちが売れるかを試してみた。
事前の予想では『ぼくとリカルド』が売れまくると予想。それというのもこっちは読者に媚び媚びの気持ちで書いたからだ。『竹藪の柩』なんてお情けで1冊ぐらい売れるかなという勝手な気持ちで書いた。
しかし、フタを開けてみれば後者の方が20倍以上売れた。
たぶん冊数でいえば今までで一番売れたと思う。

両者の結果が鮮明になった頃には冒頭を少し書き始めていたのだが、よしそれじゃあ今回は思いっきり振り抜いて、思いっきりわがままに書いてやろうと決めた。自棄みたいな物だ。
そのせいか、当初考えていた物とは全然違う物に仕上がった。

今回は『真論君家の猫』という話なのだが、明らかに『吾輩は猫である』を意識して書きはじめた。
ネタは今作のために去年の10月からちびちびと貯めてきたものを満を持して出す感じだった。 
本格的に取りかかったのは5月からだが、本腰を入れていない期間をはめるとほぼ1年構想の話だ。 
原案では真論君家の猫が見た真論君というのが話の流れだったのだが、主客転倒して猫が中心の話になった。それだけにボツになった話や設定も多い。今でもガッカリしているが、どうやっても話に組み込めない。
 
話の筋を変える前から今の自分では絶対に最後まで書けないだろうと不安だったが、未来の自分なら書けるだろうと信頼してずっと書いていたら、意外と書き通せた。
今日は3割ほど推敲を進めたのだが、今のところ100%に近い。ラストで未熟さが出るかもしれないが、たぶん高崎望より良い。これより凄いのは、たぶんしばらく書けない・・・・ってのは高崎望の時にも書いたっけ。
まあ超自分勝手に書いたのだから、そうじゃなきゃ困る。

来月には出せると思います。
それまでは乞うご期待。

牛野小雪より