愚者空間

牛野小雪のサイトです。 小説の紹介や雑記を置いています。 あと短い話とか。

タグ:夏居暑

 グッドライフ高崎望でプロットの作り方を変えたので、冒頭は特に記憶に残っている。

 それまでは学校の教科書で習ったとおりの起承転結できっちり書いていたのだけれど、それだとどうも間延びしているような気がしていた。前作の蒲生田岬はかなり手応えがあったけれど、転に行き着くまでがかなりしんどいのではないかと思っていて、レビューでもそれはよく指摘されている。

 もちろん腕が拙かったというのもあるけれど、構造的に問題があるとも思っていて、これどうしたら良いんでしょうかね、と夏居暑さんに話すと「冒頭に一発かますといいですよ」と言われたので頭をぶん殴られたような衝撃があった。起承転結で進めなくても良いのかと目が開かれるような思いがした。数年後、またプロットの作り方を変えるが、この衝撃がなければ今も起承転結を守って書いていたと思う。

 というわけでグッドライフ高崎望以後の作品は全て冒頭で一発かますようにしている。要は短編一個書いているということ。読まれ方を見ていても、これはわりと成功しているような気がする。

(おわり 2017年12月13日 牛野小雪 記)

聖者の行進 上 (牛野小雪season2)
牛野小雪
2017-11-10
町へ出るトンネルの出口で美男美女の二人が殺された
無軌道に犯行を重ねるまさやんと追いかけるタナカ
しかしそんな事とは別に破滅の車輪は回り始めていた





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『ジミー・ザ・アンドロイド/如月恭介』を読む

魂を宿した人工知能ゴッドが暴走。人類に対して戦いを挑み、別の人工知能ジミーがそれを阻止しようとする話。

月狂さんは続編があると書いていた(ペンと拳で闘う男の世迷言/ジミー・ザ・アンドロイド」書評)が、人類の視点で見たジミー&ゴッド(=人工知能)の成長、自立の話として読めば、これで完結だと私は読んだ。如月さんも続編なんか考えていないんじゃないかな。
作中でも人間は親、人工知能達は子供として書かれている。悪の人工知能ゴッドはさしずめ頭だけは一丁前の感情が伴わない思春期のクソガキといったところか。

話の最後で人類からの親離れをしたジミー達は人類の手から離れていく。作中でも書いてあったが、人間を越えた人工知能に人類はついていけないのだろう。
ジミーとゴッドの戦いは恐らく人類には何が起こっているか分からないという戦いになるはずだ。 そもそも同じ能力を持つ人間同士でも子供が精神的に自立したあとは、親は基本的に子供が何をしているかなんて分からない。子供だって親に何をしているかなんて教えない。
親という字が木の上から見ると書くように、人工知能の親である人類は文字通りそれを見ているしかない。

ジミーとゴッド、どちらが勝つにせよ。将来的に人工知能が役立たずになった親(人類)の面倒を見てくれるのか、それとも邪険にうばすて山へ送るのかは人工知能達の問題。親である人類はただ受け入れるしかない。これは人間の親子でも同じような気がする。



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推薦文『未来劇剣浪漫譚 Human Possibility』

 退廃的な未来で巻き起こるSF剣豪小説2作目

 今回は作者が商品紹介に書いてある通りにエンタメの要素を強く打ち出していて前作と比べてかなり読みやすいです。また続編なので登場人物や世界観が共通していて、早い段階から物語に入り込めます。

 前作で元々一般人だった凛が姉の仇討ちとはいえ人を殺したのに、ちょっと明るい雰囲気で終わったのが少し気になった。
 しかし、今作では人殺しの代償として一般人の友子から拒絶されていたという展開が待っている。
 凛がどうやってその傷を乗り越えるのかが一つのよみどころ。

 もう一つは無二さんが天心流の心構えを会得できるかどうか。
 師匠お墨付きで天心流の技を極めた無二さん。前作では余裕のある強さで負ける姿を想像できない男だったが、今回はそんな無二さんでも勝てそうにない相手が出てくる。(ついでに言うと嫌な奴だ)
 その相手に勝つには全てを捨てて天心流の心で立ち向かうことなのだが、それができないといういかにも剣豪小説的な展開がよみどころ。

 読み終わってから、いや後半辺りでずるいっ!と思った。この時から続編を匂わす展開だと分かったからだ。最後まで読むとやはりそうだった。無二さんが父親の仇討ちをするためにウォールの内側"ラスパラ"へ入ったところで終わるという続編を期待させるラストだった。ああ、ずるいっ!



 

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