毎日同じところを書いている。プロットは書く前に引いているので仮書きで何を書くのかも決まっている。5回目ぐらいになると手が憶えている所もあって、こんな書き直しに意味はあるのか? と自分でも疑う時がある。

 同じものを書こうとすれば同じものが出力されるはずだが、不思議なことにまったく同じが出てくるわけではない。もちろん9割くらいは同じだが、わずかな違いもある(推敲してるし当然か)。その違いが積み重なっていくと、ある瞬間にパッと白い稲妻が走って、そこからバババッと水が氷に変わるようにひらめきが広がっていく。こういうことが起きると、ああ、やっぱり間違っていなかったなと思える。
004 kick


 もう小説を一本書いたような気がするし、事実、字数で言えばもう10万字以上書いている(9割は同じだけど)。それなのにまだwordには4000字しか書かれていないというのが凄いよなとビックリする。5月から仮書きを初めて、もう6月も中頃なのに、まだ2章を書き終わっていない。こんな調子でこの小説を書き終えることができるんだろうかと不思議に思う。もしかしたら『ペンギンと太陽』は頓挫するかもしれない。でも今が一番良い小説を書いているような気がしている。

(おわり)

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