これといって書くことはないし、かといって放置しておくのももったいない。だから執筆日記を書くことにした。執筆日記とは執筆中に感じたこと、考えた事の雑感である。そういえば元々このブログは雑感帳というタイトルだった。元に戻そうかな?(新作を書く度に何かを変えているような気がする)

 今月、群像新人賞に落ちたが、結果が出るまでに短編を一本、長編を一本書いた。実は星新一賞も落ちているが、それは恥かしい内容だから出さないとして、群像で落ちた方はKDPで出したい。というわけで今は長中短と三つ弾がある。こんなことは初めてだ。いつもこれぐらい溜めておけたら気が楽になるかもしれない(群像の発表があるまでは楽じゃ無かったけど)。 落選作は『黒髪の殻』という作品で、そのすぐ後に書いたのが『獅子の檻』という話だ。殻と檻でモチーフは同じ、同時期に書いたというのが丸わかり。実際似た様な話だから仕方がない。で、最近まで書いていたのが『幽霊になった私』。最初にこれを出そうと思う。

『黒髪の殻』はわりと自分の中では良い出来だと思っているが、同じ物を書けといわれたらたぶん苦しいだろう。でも、もう一度リベンジしてみたい。あれはまだ書けそうな気がした。こういう事は初めてじゃないかな。いつもは何かを書き終えるともう何も書けないって感じになる(
現に今『幽霊になった私』を書き終わってもう何にも書けないって気分だ。だけどブログは書ける。むしろ執筆していないから書けるのかな。小説が書けなくても毎日何かしら書いているから一日に書いている文字の量はいつも同じかもしれない。)。書き終わった後もまだ書けると思ったから、勢いで『獅子の檻』を書いた。プレッシャーや枚数、賞の結果を気にせずに書いたらどれだけできるのか試してみたい。だから話の流れ的にこれを最後にする。制限が無いから余計に駄目になるかな?

 群像に原稿を送った後で村上龍の『限りなく透明なブルー』を読んだ。薄い本だったので今まで手をつけていなかったが、群像繋がりで読んでみた(
彼はこの作品で群像新人文学賞を受賞した)。読んでいる途中で(あっ、こういうのを書いていいんだ)と目が開かれる思いがした。いや、巻末に当時の状況をうんぬんと書いてあったから、もしかすると現代ではダメなのかもしれないけれど、ああいう物も書いていいんだなと、ちょっと目の前が開けたような気がした。だからこそ余計に書ききっていないと感じてしまった。

 さて、その話は置いておいて、直近に出す予定の『幽霊になった私』だけど、現在表紙を作成中。文章を書くのも難しいが、こっちもこっちで難しい。  KDPで出版を始めてからだから、もう4年ぐらい前からネット上で色々アートの小技(
主にフォトショップ)をつまみ食いしているが絵は全然書けない。たぶん量的な経験が足りないのだろう。それと根本的にセンスがない気がする。ツイッターで何千RTで回ってくる絵とは決定的に違う。月とスッポン。黒と白。

 イメージはあるのよ。頭の中にこれというイメージはあるのだけれど、なかなか形にできない。頭と手が乖離している。誰かに描いてもらうにしても、そのイメージは言葉にできなければ描けないだろう(
←言葉を使うのも下手なのか?)。キミコロみたいに私の頭を覗いて描いてくれる人がいればなぁ。

   『言葉以上の意味がある』という言葉ある。一昨日ぐらいにある人がこの言葉を言って、ふと気付いたのだが、私が執筆する時は頭の中に言葉も形も色も無い概念だけの沼があって(
でも言葉も色も形もある)、そこから言葉をすくい上げていくイメージなんだけど他の人はどうなんだろうか?  私の中では言葉以上の意味なんか無くて、言葉以下の概念が暗闇の中でずうっと広がっているように感じる。『言葉にできない』と同じ言葉で言っても意味が違う(その人もそれ以外に表現する言葉がなかったのかもしれないけれど)。言葉は高いが狭い、意味は広くて底が見えない。
  概念や意味にエネルギーに喩えるなら、言葉は高温だが総エネルギーが少なく、言葉以下の世界は温度が低いがほぼ無尽蔵にある。でもそのまま使えるわけではない。執筆とはその無尽蔵のエネルギーのエントロピーをどうにか集めて抑えて言葉に成形する作業なのかなと考える時がある。そういえば頭が冴えている事をクールと言う。言いえて妙だ。
インスピレーション沼
 ひらめきは爆発らしい。芸術だったかな? 爆発というと爆薬やダイナマイト、もっと規模を大きくすれば核爆弾、超新星爆発。どれも熱くて勢いが激しいイメージ。漫画や、小説、映画でもそういうイメージで描かれている。いや、稲妻の方が多いか。どちらにしろ熱くて瞬間的にパワーが走るイメージ。でも、私の執筆している感触ではあんまりピンとこない。ひらめきとは暗い密閉された空間で微生物が嫌気発酵を繰り返して徐々に気温と圧力が上がり・・・・・・・・・・・・あっ、やっぱり爆発するのか。

(おわり 2016年4月19日牛野小雪記)


追記:前に隙間社さんが私のブログはフォントやフォントサイズがバラバラだと指摘されていた。wordから本文をコピペした時に何故かとても時間がかかる。その時に何かが妙になっているんだろう。だから今回はword →テキスト →このブログ と二度手間でやってみた。そうするとフォントサイズは揃ったが行間がとても狭くなった。どうしてなんだろう?