僕は新作を書きあげる度に県外のある本屋に行く。その本屋は日本最大の売り場面積を謳っているだけに、売れ筋の本はもちろん、誰が買うのか分からないような本まで置いてある。

 それで僕はそこで意外な発見をした。海外文学といえば新潮文庫とハヤカワ文庫、このふたつの文庫レーベルが独占していると思っていたんだけど、この前その本屋に行った時に海外文学の本がハードカバーで売られているのを発見した。

 どうしてハードカバーが無いのか不思議に思っていた頃があった。この瞬間になるまで見かけなかったんだから、それは無い物だと思って当然だ。でもそれは単に近所の本屋に置いてなかったというだけで、あるところにはあったというわけだ。

 値段を見るとどれも当たり前の顔をして2,000円を越えていた。分厚い本があって、上巻の方を取ってみると4,200円とあって手の力が抜けそうになった。何とかピンチョンという変な名前の人だった。ピケティ本が6,200円で高いとニュースになっていたが、翻訳物は著者+翻訳者だから基本的に高い物だ。逆に言うと新潮文庫とハヤカワ文庫が安すぎる。

 僕はそこでシンプルな表紙の本を一冊だけ買った。今調べてみると中央公論新社とかいうこれまた聞いた事の無い出版社。うん、こういうところだ。普段は見る事の無い名前に出会うところがこの本屋の良いところだ。しかも三年前に印刷された本が初版で手に入るのはここぐらいだろう。これがあるから車を二時間飛ばすわけだ。

 そうそう、これだけは言っておかなくてはならないが香川でうどんを食べるときは二時までに食べること。そうしないと僕みたいにローソンのドーナツ二個が遅めのランチになってしまう。本当だよ、あそこは二時になるとうどん屋らしいうどん屋はみんな店を閉まっちまう土地だ。
 でもそういうところもやっぱり好きなんだ。四六時中店を開けているなんて狂気の沙汰だ。むしろ日本全国でうどん屋に合わせて活動するべきだ。

 その日から買ってきた本をちびちび読んでいたんだけど、ふとアメリカ人作家の本を僕はどれくらい持っているのかなと、気になった。海外文学といえばイギリス・ロシアの二大巨頭があって、そのひとつ下にフランスとドイツがあるみたいな印象が僕にはあった。
 さっと思い出せるのはヘミングウェイぐらいで、アメリカ人に作家なんているのかなと疑問に思っていたけど、調べてみると結構いた。ハリウッド映画と同じで身近にある物だから、すぐにそれと気付けないものなのかもしれない。でもやっぱり印象は薄い。ハリウッド映画だってすぐに思い出せる物は少ない。

 そういうわけで、というのはおかしいけれど、僕は今アメリカ人作家の本を枕の脇に積んでアメリカ文学にどっぷり浸かっている。

ヘミングウエェイはやっぱり短篇が良い。『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』これだけは何度読んでもいい。でも何だかんだで、やっぱり読みやすいのは『老人と海』だ。みんなの意見は案外正しい。

 

(おしまい)

ヘミングウェイの本
(老人と海が評価されてノーベル文学賞を取ったらしい)

ついでにこれも



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