愚者空間

牛野小雪のサイトです。 小説の紹介や雑記を置いています。 あと短い話とか。

2018年05月

今年から30日改稿5日休養という体制でやってきた。
詳しくはこちら→小説は毎日書いた方がいいの?

先日、全作改稿が終わったので改稿字数をエクセルに打ち込んで30日間の平均改稿字数を調べた。


今年の始めから5月23日までの間に30-5日体制を4サイクルした。改稿実施日数は120日ということになる。下のグラフにある灰色の線は120日の平均線。青い線は改稿した日にちの平均線(1の部分は1、2、3、4サイクルの初日の平均線ということ。オレンジは平均線の5日平均。だから5から始まっている。)
キャプチャ
12日辺りがピークなのは体感と一致している。25日辺りまでは調子が良いと感じていたがグラフは下がっていた。30日近辺はいつもどん底の気分だったがグラフでは上向いていたのが意外だ(2回目のピーク? しかし一回目よりは山が小さく不安定だ)。

5~10の間で一度落ちる。ここで休養するのも一つの手だ。週一で休養を挟めば安定することは分かっている。しかし、後のピークを捉えることができない。やっぱり書き続けていないと執筆のエンジンは熱が上がらない気がする。そして熱狂的な力がないと良い物が出てこない。

ちなみに1-15日までで全改稿字数の59%を稼いでいる。10-15なら31%だ。最初の15日で6割稼いで、さらにピークの数日で3割稼いでいるということになる。ピークの時期を捉えると捉えないのでは全然違っていて、ピーク時は誇張ではなく2倍以上の力が出ている。

しかし、オレンジの線は17日からは29日を除いて120日平均以下で推移している。青い線なら15日からだ。これ以降は平均以下のパフォーマンスになる。ということは15日に休養を挟むべきなのだろう。これ以降はオレンジの線が安定してくるが平均以下のパフォーマンスだ。

次に何日休むべきかを考えてみた。

100%を30で割れば3.3%(小数点1より下は切り捨て)。これが一日の理論平均値。それを15でかければ49.5%。それを実際の15日までのパフォーマンス59%と差し引きすると9.5%で、理論平均値より約3日分のアドバンテージがある。で、元々30日の後は5日休養していたわけで、合わせて8日。この8日を2で割って4日。15-4日体制で書けば良いのではないだろうか。毎サイクル休養明けのスタートダッシュと10-15日でピークを捉えられるなら2割増し、15-5日でも1割増しできる。

う~ん、でも30日毎に5日休むのも休みすぎのような気がしていて、15日毎に4日休んだら本当にダメになるような気がする。でも数字ではそうした方が良いと出ている。それに元々は毎日ずっと原稿に張り付いているのは、どうも良くないぞ、というところから出発していて、今年から改稿した分は去年やった物より良くなっている気がする。

 う~ん、しかしどんなものにも例外はあって10-15日に必ずピークが来るとは限らない。しかしスタートダッシュ効果は今のところ必ず来ている。それを前提にすると効率が良いのは休養明けの日を増やすことで、1-1体制で35日回しても休養日が3倍になるのに同じ結果が出るらしい。いや、効率で言うなら一番良いのは5-1だ。5-2でも今よりちょっと良い結果が安定的に出せる。

 しょせん手応えなんてものは私だけが感じていることで、もしこれが他の誰かのことなら「そりゃあ、おめえさん。答えは一目瞭然だろうよ」と言っているところである。しかし、絶好調時のあの熱狂的な時間を捨てるのかと思うと、何か納得がいかない。

 さて、どうしたものか。

(2018年5月23日 牛野小雪 記)

追記:小説を書き上げるのと改稿ではまた違うものがあるのかもしれない。たぶん一緒だろうけど

追記2:『聖者の行進』は下巻の方が少しだけ分量が多いのだが4月までは上巻の方がkenpが上だった。しかし何度も改稿しているとkenpがじわじわ伸びて今月は下巻のkenpが上回っている。こういうところで改稿の手応えが分かるのでKDPは面白い。売上部数だとか、ランキングの推移だけでは分からないことがある。

追記3:改稿した本にはレビューがちらほら付くようになった。高崎望や猫についたのは嬉しい。

追記4:グラフのy軸に数字がないのは数字がショボくて恥ずかしいから

追記5:『ヒッチハイク!』は腕だけでどれぐらいの物が書けるのだろうと、熱くならないで書いた小説で、全ての改稿を終えた後で一番自由さを感じた小説だ。で、今はヒッチハイクの向こう側を目指そうと考えている。熱狂を捨てて別の何かを見つけるべきなのかもしれない。



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 やっと改稿が終わった。『聖者の行進』の推敲を入れると、推敲改稿を8ヶ月も続けていたことになる。こんなにも続けてやったのは人生初で5年分ぐらい小説を読んだような気がする(自分で書いた物だけど)。

 KDPで出版したのを全部読んで改稿したわけだけど、やっぱり最高傑作は『真論君家の猫』のような気がする。それで最低傑作は『聖者の行進』だ。でもでも一番自由さを感じたのは『ヒッチハイク』だった。はしゃぎすぎた感じはあるけれど、かえってそれが良かったのかもしれない。改稿していて、ずっと面白かった。猫と聖者はこれ以上どうすれば良いんだろう、と行き詰った感じがある。たぶんもう改稿はしないのではないか(と、何年か前に同じことを書いたような気がするけど)。

 さて、改稿も終わったわけだし、新しい小説を書こうかなという予定だけれど何だか自信が無くなった。半年以上改稿はしていたけれど、執筆(0から1への作業ってこと)はしていなかったので本当に書けるのかなと疑っている。今週は『エバーホワイト』の改稿をしていたのだけれど、今までは大した物書いたなと胸を張るような気持ちがあって、でも改稿で読み直すと本当にこれ私が書いたんだろうかと恐くなった。こんなもん二度と書けるかってツッコミたくなる。でも『聖者の行進』はseason2の最後のつもりで書いたのだから、やっぱり二度と書かないのかもしれない。新しい小説を書けるようになりたい。今のところは『ヒッチハイク』の向こう側を見ているのだけれど、実際に出てくるまではどんなものか分からない。あっ、と驚くような物が出てくると良いな。

(2018年5月18日 牛野小雪 記)

追記:五年分読んだと最初に書いたが、火星を出したのが5年前だから1年かけて書いた物を1年の力で改稿したってことなのかな。

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『黒髪の殻』は群像新人賞に出すために書いた物で、この辺りから意識的に書き方を変えた。火星の辺りは改稿していても強くてニューゲームぐらいガンガン改稿できたけれど、この辺りからちょっと跳ね返してくるようになった。嬉しいような面倒くさいような複雑な気持ちがする。

 この小説を読み返して、どうして落ちたんだろうと色々考えるのだけれど『文学』を書こうとしたからではないだろうか。というより書き始めの発想に『文学』とはこういう物だろうという考えから出発していて、そのイメージに合うような小説を考えていた。でもそれは過去の『文学』から作られたイメージであって新人賞という場にはふさわしくなかったのかもしれない。書いている時にも古典的すぎやしないかと思っているところはあった。

 あるいはこうも考える。新人賞という場に出すのだから人に、審査員に気に入られようという下心から、いつも通りの小説を書かなかった。こういうのが良いんだろ、みたいな不遜な考えも持っていた。そういうところを見透かされていたのかもしれない。もし次出すことがあるなら、絶対に審査員が受け入れそうにない小説を書いてみたい。

 そういう意味では去年のよしもと原作プロジェクトに出した『ブラッドエグゼキューション』なんかはけっこう良い線行っていたようだ。大事なのは気負わないこと。

(2018年 5月12日 牛野小雪 記)

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1.最初の素案

 元々のネタは野宿をしながら料理人の女が四国を回る話だったが、当時は四国88ヶ所巡りが始まって1200年とかでテレビでよくニュースとか特集をやっていたので、それをネタにしようとしていて弘法太師のネタを探しに色んな寺を巡った。しかし小説のネタにするには弘法太師の行状がひどいので、あきらめたような記憶がある。仏教的には良いことらしいけどね。88ヶ所巡りをすることも考えたが1200km歩くことを考えると、やる気がしぼんだ。
 ノートの右半分は野宿で何を食べるのか色々考えた跡が記されている。どうやってたんぱく質を取るのか悩んでいた。
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2.チーズでダシが取れる!

『砂の上のロビンソン』という本を探していたが絶版になっているようで見つけられなかった。その代わりに『旅の重さ』と『ロード88』という映画をDVDが借りて見た。『旅の重さ』の方は何となくまだ見た感じが残っている。でも今の時代は放映できない感じだと思う。採算的な意味で。
 右ページに大きく『驚き! チーズでダシを取れる!』と書いてあるのは、チーズでダシを取った豆のスープを作って食べると、とても美味しかったことの驚きを表している。本当に美味しかった。野外用の小さなコンロと小さな鍋で作って、鍋から直接食べた。その後、残った汁で雑炊を作った。これも美味かった。
 そのあと水を沸かしてコーヒーをブラックで飲んだ。その日の夜は目が冴えて眠れなかった。

 この時タビーという茶トラの猫の短い話の流れが書き込まれている。これは後のジンジャーに繋がる。その下にある別れた女房に執着している男はタクヤが天野巡りを始めるきっかけになる男の前世。
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3.異世界創造

 徳島県がすだち県になっている世界のあれこれ。お札の人物が変わっている案もこの頃に出している。もちろん歴史も違うものになっているのだが、ここまで入れると長すぎるのでカットした。一応架空の歴史を語ると、大庭義昭が仁科為吉を不破の関で打ち破って征夷大将軍になり大阪幕府が開かれているという設定になっている。
 最後にちょろっと旅人がふらっとやれるような仕事を探していて、それの報酬を調べていた。でもいちいち仕事の描写を書くのも面倒なのでボツとした。タクヤはホームレスからお金を得ることになる。

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4.ターンワールドのパイロット版

 最後までプロットを通す。この時はまだ通しただけでプロットは完成していない。88ヶ所巡りをどうやってさせるか悩んでいた。異世界に行くので、異人(猫人間や魚人間)がいることを思いついたが、面白くないのですぐにボツとなった。
 この時にターンワールドのパイロット版とでもいう短編を二つ書いた。この辺りでターンワールドのイメージを捉えたような気がする。
 ○成人月歩
 ○I'm walking
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6.最後までプロットを引く

 最初から最後までプロットを引く。すっきりとしたプロットで12万字で終わる予定だった。
 表紙の案もできていて、推敲が終わる頃に書いたが、別の表紙を書いた。
 主人公の名前はまだ決まっていなかった。というより誰の名前もまだ決まっていなくて、ミワも女とだけ記されている。
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7.各章のプロット

 全体から各章のプロットへ。この時はまだ章のタイトルが決まっていなかった。たぶんターンワールドという本の名前もまだ出ていなかっただろう。『GO! AWALAND!』という奇妙なタイトルが左上に書かれている。最後の章はreturn worldなので、この辺でturn worldが出てきたのかもしれない。
 この段階では主人公が死のうとしているところで女と出会って助かることになっている。
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 猫の章はスカスカ。あとで最後の章のシトラスクィーンとミックスさせるのだが、もしかするとプロット通りで良かったかもしれない。
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9.雨乞いの巫女

 天野巡り信仰の要である雨乞いの巫女アマノウズメの名前が決まる。日本神話に出てくる女神と同じ名前で、この時には既に読んでいるはずだが、だいぶ後になるまで気付かなかった。でも彼女が主人公を異世界から元の世界へ戻す役割を担っているのでアマノウズメで良かったと思う。
 この時は最後にアマノウズメに会わせる予定だったらしい。

 右ページは作中作の『拙者、猫に候』のプロット。この時は本気で書くつもりでいたが力不足により設定だけの登場。
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10.突然始まる刑事物

 プロットの段階で私にターンワールドを書くのは無理とあきらめて、別の話を書こうとしていた。T島県に巣食う麻薬組織をある刑事が追う話。このプロットはまったく日の目を見ることはなかったが『エバーホワイト』『聖者の行進』で似たような事情の話がちょろっと出てくる。
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11.気を取り直して
 
 猫の章を書く自信がなかったのでプロットを練り直した。猫とシトラスクィーンの章がミックスされている。登場も女より早くなったが、女の代わりに猫が死ぬことになった。何故死ぬのか? それは作者にも分からない。シトラスクィーンがイルカの群れに飲まれて死ぬという案もあった。ターンワールドではあの時点で誰かが死ななければならなかったのだろう。小説の不思議だ。

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12.仮書き

 プロットができたのでノートにざっと仮書き。
 最初のBAD WORLDはかなり短いが、原稿ではかなり長く書いた。次の章はもっと長く書いた。
 この時点ではまたミワと先に出会うことになっている
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ミワと出会って、ジンジャーと出会い、シトラスクィーンと出会い、そしてジンジャーが死ぬところまで
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 最後の章。最初に出会った老人の教えがここで生きてくるというのを考えていた。アマノウズメと出会わないというラストにしたのはこの辺りのようだ。
 右ページでは、仮書きの後にまたプロットを引きなおしている。
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13.プロットの引きなおし
 仮書きを踏まえてプロットの引き直し。2枚目の写真ではミワの章で色々と悩んでいる様が窺える。
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 余白に書く感じでturn worldの章の最後の部分が書かれているが結局書かなかった。パイロット版のI'm walkingみたいな話を2万字と考えていたが、作者の限界がきていたので物語を支えられなかった。すぐに最後の天野神社へ行くことになった。

 こうやって振り返ると力不足によりプロットを変えたところが多い。今ならこれ書けるぞ、というプロットがある。でもどんな小説と出会うか作家は選べない。その時に出会ったものを、その時の実力で書くしかないのだ。それでも『ターンワールド』は牛野小雪の中でひとつの金字塔となった。とても大きな小説で、まさか『真論君家の猫』に続けて、こんな物を書くとは思わなかった。

(おわり)

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