牛野小雪の愚者空間

 真論君家の猫の次はターンワールドなんだけれど、20万字以上の改稿から続けて30万字の改稿に手を付けるには気が引けたので短編集に手を付けることにした。書名もちょうど長い寄り道だし、ちょうどいい。

 やっぱり竹薮の柩とぼくとリカルドはまだ書き慣れていない感じがするけれど、アーモンドの花ぐらいになると、あっ、こいつ慣れてきたなという感じがして恥ずかしい。でも最後の獅子の檻は硬かったかもしれない。ベンツを燃やせはふざけて書いたので一番柔らかいけれど、あれって冷静に考えると犯罪ですよね?

 今年は30日執筆して5日休むという方針でやっているのだけれど、やっぱり効果があるのかもしれない。今年改稿を始めてから20日ぐらいからやっぱりエンジンがかかり始めて、30日後にピタリと改稿をやめた。ノッている感覚はあったので本当に休んでいていいのかなと不安になった。
小説は毎日書いた方がいいの?

 しかし長い寄り道の改稿を始めると意外にもするすると進んで8日でフィニッシュ。2週間かけるつもりが予定より6日も早い。

 目に見えて凄いことが起きている感覚はないけれどトップスピードが続いている感じがする。でも単に先月のノッている感覚が続いているだけかもしれない。でもこれが来月も続いたら大発見だ。

(おわり 2018年2月17日 牛野小雪 記)

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 この50日ぐらいずっと真論君家の猫を改稿しながら読んでいたのだけれど、やっぱりこれが今のところ最高かなという気がする。最低傑作の聖者の行進を書いた勢いで書けばどうなったか分からないけれど、意識的に書いてこれを超えるのはまだ無理だ。
 
 それに影響力も抜群で、今まで改稿するたびに何かしら閃きが降りてきたのだけれど、これを改稿している時に降りてきた物で全部吹っ飛んでしまった。思えばこれを書いた後なんて、もう何も書けないと思っていたのにターンワールドが書けてしまったし、これを改稿した後でどうしても聖者の行進を書かなければならないと思い至ったわけで、きっと何かしらのパワーがこの小説にはあるのだろう。それなら新しい小説を書く前に真論君家の猫を改稿するようにしたら、何かしら凄い物を吐き出せるようになるのだろうか。

 ようやくseason1の改稿が終わった。時間がかかるとは分かっていたけれど実際にやってみるとしんどいものだ。改稿してから反応は良いようだし、コーンと叩けば高い音が鳴るようなもので、まだあと一歩はどこかに進めるんじゃないかと感じている。そうしたらまた改稿か。う~ん、でもまぁ、season2を終わらせたキリの良いところなので、ここらで全作品締め直しておくのもいいかな。
2018-02-03

(2018年2月3日 牛野小雪 記)



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町へ出るトンネルの出口で美男美女の二人が殺された
無軌道に犯行を重ねるまさやんと追いかけるタナカ
しかしそんな事とは別に破滅の車輪は回り始めていた






1 運び屋タナカ 終章 痛みと恐怖を感じる前に


タナカ・サトシはライトバンで短距離配送をしている。仕事に関する指示は多く、裁量権はないと言ってもいいのに彼は雇われドライバーではなく社長だった。従業員として雇われたはずだったのに何故かそうなっていた。

大手の運送会社から荷物を預かって配送先に送る。配達が遅れるのはもちろん事故を起こしても、荷物を破損しても損失は全て彼が負わなければならない。だから損をしても何とかなる範囲で荷物を運んだ。

収入はほとんど上がらなかったが、社長という肩書きだけあって稼ぎはそこそこある。テレビのニュースで聞くような貧困層ではない。むしろ稼ぎは多い方だ。


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 小説は毎日書けばいいのか、それとも週に一度か二度休みを入れたほうがいいのか。
 週に一度休みを入れるのは体感的にダメだと分かっている。休み明けには筆に力が入らないし、執筆エンジンが冷めてしまう。かといって毎日書けばいいのかと言うと、そうでもない。長編なんか書いていると、日を追うごとに得体の知れない何かが溜まってきて、ある日突然出力が0になる。おまけにそれが後を引くのだ。


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1 ぼくはミータン


1 最初の主さん


 始めは全てが真っ暗だった。ぼくが柔らかく暖かい空間でくつろいでいると、時々体が揺れて柔らかい物にぐにゃりとぶつかった。それを何度か繰り返していると、同じ空間に何者かがいることに気付いた。それも一つや二つではない。時を追うごとにその存在は大きくなり、ぼくを押しのけようとするので、ぼくの方でも押し返した。


 そうやって誰もが押すな押すなの縄張り争いをしていると、やがて一つの存在がその空間から姿を消した。あぁ良かった、これで広くなった、と胸をなでおろすと、また一つの存在が消えた。それが何度も続いた。


 ぼく以外の存在がこの世から消えると、心地良い空間を独り占めにして、この世の春を楽しんでいたのだが、目の前にひとつの光が見えた。


 その光はどんどん大きくなり、頭の中までまぶしくなった。訳の分からない状況と身を包む寒さに震えていると、暖かくて柔らかいものがぼくの背中を撫でた。それは母上の舌だったが、この時はまだ目が開いていなかったので、それが何だか分からなかった。


 生まれたてのぼくは「にゃあ」と鳴けずに「みー」と鳴いた。ぼくの周りでも「みーみー」と大合唱が起きていた。先に生まれた兄弟達がぼくと同じように「みーみー」鳴いていたのだ。ぼくも「みーみー」の合唱に加わった。


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1 上等高校受験


「望君は、やればできる子だからがんばって!」


 車の中から母親が声をかけた。息子の合格を心から信じている目をしていた。どうしてそこまで信用できるのか望には分からなかった。


 二人は上等高校の正門前にいた。今日は入学試験日で、門内には親子連れの学生が何人もいたが、望は一人だけだった。


 母親は一緒に行くと、何度も言っていたが、中三にもなって母親と一緒に歩くなんて恥かしいと望は思っていた。『来たら殺す』と望は言い続けて、三日前に渋々という感じで母親はついてくるのをやめた。他の子もそうしているだろうと思っていたが、みんな親子連れで子ども一人の方が珍しいぐらいだった。


 望と同じ学校の制服を着た子が何人かいた。顔は知っていたが名前は知らなかった。数人で固まって話をしている。


 校舎の門が開いた。


「試験を受ける方はこちらへ! 保護者の方はあちらへ!」


 スーツを着た男が白い息を吐きながら大声を出した。たぶんこの学校の教師だろう。
 望が校舎へ向かっていると担任の先生が自分の生徒達の肩を叩いて言葉をかけていた。望は先生に捕まらないように、そっと通り過ぎようとしたが肩を捕まれてしまった。顔を横に向けると先生と目が合った。


「高崎、がんばれよ」


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 白い大鳴門橋のすぐ脇で渦潮が白く渦を巻いている。実際にこの目で見る渦潮は想像していたよりも小さくて静かだった。


 秀子は展望台から渦潮を見下ろしていた。隣には奈津美がいる。彼女の提案でここまで来たが、すぐに飽きてしまったようだ。


「何もないね」と奈津美がだるそうに言った。「私の想像していた渦潮ってもっとこう大きくて激しいものだと思っていたけど、こうやって見ると大したことない。子どもの頃に見たのはもっと大きくて恐かったんだけどなあ」


 奈津美は手を大きく広げた。



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